2016-04-07 iの終わりに~29話 iの終わりに(完結済み) 小説 i イデア kakuhaji.hateblo.jp 第一話はこちらから読めます ↑ 夢の中へ沈んだ。 僕という一滴が広大な海に落ちて、とけだし、まざりあうみたいに。。 眠りの深いところに深いとこへ沈むと、そこが子供たちの夢の世界への入り口―― ――イデアの“エントランス”。 僕たちはここで理想の自分を創り上げた。 好きな役を選び、好きな衣装を着て、好きな台本を演じ、好きな世界に沈んで行った。 エントランスに入るこの瞬間は――まるでチケットを片手に映画館や遊園地に入っていくみたいで、とてもわくわくした。 素敵なことが、はじまる予感がした。 だけど、今――エントランスは淀んでいた。 深く濁っていた。 かつて、この場所は華やいでいた。 たくさんの子供たちが、それぞれに思い望む理想の姿でこの場所に立ち、時に誰かを待ち、時に誰かと手を握り、そしてそれぞれ夢の中に沈んでいった。旅の切符を手にして隣に座った人と旅に出るように、それぞれに物語の中に沈んでいった。 かつて、この場所は眩いくらいに輝いていた。 だけど、今この場所は誰もいないからっぽのがらんどうだった。 暗闇に閉ざされ、痛いくらいの静寂が腰を下ろし、寂しくて悲しげながらんどうだった。 部屋の灯りを点すように、僕はこのエントランスに光を呼び込んだ。 そして、僕はエントランスを創造した。 ハックルベリー・フィンのマンションのエントランス似せて。 いずれ物悲しい音とともに、そのの扉が開いた。 無人のエレベーターの中に入り、イデアの底に沈むための―― ――彼女に続くための十三階のボタンを押した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー kakuyomu.jp続きはこちらか読めます ↑