マリーと魔法使いヨハン28話
028 いつから、私たちはパートナーになったのよ?
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「――――、えっ?」
マリーはヨハンの言葉に驚いて聞き返した。
それはマリーたちが朝食を食べ終わり、マリーが食後のリンゴを剥 いている時のことだった。剥き終わったリンゴを一つつまみながら、ヨハンが突然――――明日の凱旋式に一緒に出るために、これからマリーのドレスを買いに行こうと言い出したからだった。
「だから明日、出兵していた戦艦と飛空挺の部隊が戻ってくるんだよ。それで凱旋式が開かれるんだ。それに今夜、前夜祭が行われるんだ。僕は、それに出席しなくちゃいけなくて、それで、その凱旋式にマリーも一緒に出るから、これからドレスを買いに行こうってことだよ。簡単な話しだろ?」
いつもの調子で当たり前のことのように話すヨハンに、マリーは苛立ちを覚えて言った。
「だから、なんで私がその凱旋式にあんたと行かなきゃいけないのよ?」
「マリーと一緒に出たいからに決まってるだろう? それに、そういった特別な式や会には。パートナーと一緒に出席するって決まっているのさ」
それを聞いたマリーは、「ああ」と頷いた。
確かに、パーティや特別な式などはパートナーを連れて出席するものだと、マリーにも聞いたことがあった。マリーが働いていたオベリアル卿の館で催 されるパーティも、賓客 はパートナーと同伴で出席していた。
しかしマリーはふと考え直し、頭を振ってヨハンに噛みついた。
「いつから、私たちはパートナーになったのよ? そんなパーティ行きたくないわよ」
ヨハンは手を広げて天を仰ぐ。
「マリーは相変わらずの分からず屋だな。おいロキ、頼むからマリーを説得してくれないかい?」
ヨハンはロキに救いを求める。
それを聞いてむくりと机の上から起き上がったロキは、頭を肉球でゴシゴシとかいてから喉を震わせた。
「マリーが行きたくないのなら、無理に行く必要はない。だが凱旋式、前夜祭もだが――――それらは一番地の中――――無憂魔宝宮 で行われる。それにその後のパーティは水晶宮 で開かれる。どちらもマリーが見てみたいと言っていた場所だ。行ってみて損はないだろう」
ロキの言葉に、マリーは一瞬瞳を輝かせ。
あの美しい無憂魔宝宮 を間近で見れるとなると、マリーの胸は大きく膨らんだ。それに王族の住むお城の中に入れるなんて夢のようだった。
ロキの言う通り、確かに行ってみても損はなかった。
それでも、そんな大きなパーティに自分みたいな田舎者が行くなんて場違いではないだろうか――――他にもマリーには不安なこともがあった。
「ねぇ、そのパーティには、あのお姫様もいるんでしょ?」
マリーは、アレクシア姫がヨハンのアジトに来た時のことを思い出した。
「ああ、もちろんさ」
浮かない表情のマリーに、ヨハンは言葉を続ける。
「マリー、僕を助けると思って一緒に行ってくれよ」
「助けるってそんなに大変なことなの」
「もちろんさ。そんな大切な式に、僕が一人で行ったら笑い者だよ。マリーは僕がみんなの笑い者になってもいいのかい?」
必死に懇願するヨハンにマリーはとうとう折れることにして、ヨハンと一緒に凱旋式に出る決意をした。
「わかったわよ。そこまで言うなら行くわよ――――その凱旋式に」
仕方なく了承したマリーは、半ば投げやりに言いった。
それを聞いたヨハンは華やかな笑顔をつくり、翡翠の瞳を輝かせた。
「よかった。本当に助かるよ」
ヨハンはマリーにお礼を言って素早く立ち上がった。
「さぁ、さっそくドレスを買いに行こう。今日は空の機嫌が悪いから。荒れる前に済ませてしまおう」
早く早くとマリーを急かすヨハンを、ロキは呆れたように眺めていた。
マリーはヨハンの言葉に驚いて聞き返した。
それはマリーたちが朝食を食べ終わり、マリーが食後のリンゴを
「だから明日、出兵していた戦艦と飛空挺の部隊が戻ってくるんだよ。それで凱旋式が開かれるんだ。それに今夜、前夜祭が行われるんだ。僕は、それに出席しなくちゃいけなくて、それで、その凱旋式にマリーも一緒に出るから、これからドレスを買いに行こうってことだよ。簡単な話しだろ?」
いつもの調子で当たり前のことのように話すヨハンに、マリーは苛立ちを覚えて言った。
「だから、なんで私がその凱旋式にあんたと行かなきゃいけないのよ?」
「マリーと一緒に出たいからに決まってるだろう? それに、そういった特別な式や会には。パートナーと一緒に出席するって決まっているのさ」
それを聞いたマリーは、「ああ」と頷いた。
確かに、パーティや特別な式などはパートナーを連れて出席するものだと、マリーにも聞いたことがあった。マリーが働いていたオベリアル卿の館で
しかしマリーはふと考え直し、頭を振ってヨハンに噛みついた。
「いつから、私たちはパートナーになったのよ? そんなパーティ行きたくないわよ」
ヨハンは手を広げて天を仰ぐ。
「マリーは相変わらずの分からず屋だな。おいロキ、頼むからマリーを説得してくれないかい?」
ヨハンはロキに救いを求める。
それを聞いてむくりと机の上から起き上がったロキは、頭を肉球でゴシゴシとかいてから喉を震わせた。
「マリーが行きたくないのなら、無理に行く必要はない。だが凱旋式、前夜祭もだが――――それらは一番地の中――――
ロキの言葉に、マリーは一瞬瞳を輝かせ。
あの美しい
ロキの言う通り、確かに行ってみても損はなかった。
それでも、そんな大きなパーティに自分みたいな田舎者が行くなんて場違いではないだろうか――――他にもマリーには不安なこともがあった。
「ねぇ、そのパーティには、あのお姫様もいるんでしょ?」
マリーは、アレクシア姫がヨハンのアジトに来た時のことを思い出した。
「ああ、もちろんさ」
浮かない表情のマリーに、ヨハンは言葉を続ける。
「マリー、僕を助けると思って一緒に行ってくれよ」
「助けるってそんなに大変なことなの」
「もちろんさ。そんな大切な式に、僕が一人で行ったら笑い者だよ。マリーは僕がみんなの笑い者になってもいいのかい?」
必死に懇願するヨハンにマリーはとうとう折れることにして、ヨハンと一緒に凱旋式に出る決意をした。
「わかったわよ。そこまで言うなら行くわよ――――その凱旋式に」
仕方なく了承したマリーは、半ば投げやりに言いった。
それを聞いたヨハンは華やかな笑顔をつくり、翡翠の瞳を輝かせた。
「よかった。本当に助かるよ」
ヨハンはマリーにお礼を言って素早く立ち上がった。
「さぁ、さっそくドレスを買いに行こう。今日は空の機嫌が悪いから。荒れる前に済ませてしまおう」
早く早くとマリーを急かすヨハンを、ロキは呆れたように眺めていた。
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こちらの物語は、『小説家になろう』に投稿していたものをブログに掲載し直したものです。『小説家になろう』では最終回まで投稿しているので、気になったかたはそちらでもお読みいただけると嬉しいです。