仕事をやめるたった一つのやり方~20話

第20話 拷問

本日の『カクヨム』ミステリーランキングで45位に入れました。

ありがとうございます!!

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kakuhaji.hateblo.jp

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 男の質問は続いていた。

 一郎は何度も同じことを答えた。

 

 同じことを何度も何度も繰り返した。

 

 時折、一郎の体にナイフを突きつけ――「本当か?」「嘘じゃないな?」「もしも嘘をついていたら……」と、質問を繰り返した。

 

 一郎はその度に泣き叫びながら同じ答えを繰り返した。男に頬を切られた時、一郎は衛宮と知り合いであることを喋ってしまおうかと考えたが、それだけは何とか踏みとどまった。

 

「本当だ。全部話した。テロの話を聞いたのは……本当に偶然だったんだ。嘘は一つもついていない。あいつのことは……何も知らないんだ。信じてくれ。僕は脅されていただけなんだ」

「いいだろう。お前の言っていることは分った。相棒の方はどうだろうな? 様子を見るとしようか」

 

 男は一郎を歩かせた。

 

「さぁ、今度はここに座れ」

 

 一郎は言葉を失って絶句していた。

 変わり果てた衛宮の姿があった。

 

 衛宮は、縛れらた手を天井から降りたクレーンで釣られていた。そして上半身を剥き出しにされ、全身から血を流していた。皮膚は青黒い痣が幾つもできており、手酷い拷問を受けた後だという事は一目瞭然だった。宙に浮いた足元には血溜りができていた。

 

 まるで食肉工場の冷凍肉のようだった。

 

 身長は一郎よりも低く、小柄で痩身に見えた衛宮だったが、その肉体は鍛え上げられたアスリートのようで、分厚い筋肉の鎧を身に纏っていた。スーツの上からでは分らなかったが、彼が日常的にハードなトレーニングをしていることは一目瞭然だった。

 

 そんな彼の見事な肉体は今、見るも無残な姿へと変えられていた。

 

 一郎はあまりの残酷さと恐ろしさに言葉を失い、ガタガタと歯を震わせてその無残な姿から目を背けた。

 

「何か喋ったか?」

 

 男が尋ねると、大きなシャベルを持った男が首を横に振った。

 

「何も。タフな男で、まだ一言も喋ってません」

「悲鳴も懇願もなしか?」

「はい。こんな感じです――」

 

 そう言いながら、男は両手に持ったシャベルを衛宮の腹に突き立てた。

 

「がはっ」

 

 衛宮は瞳を剥き出しにして口から血を吐き出した。しかし悲鳴はおろか、呻き声すら上げなかった。痛みで苦しみながらも、必死にそれに耐えていた。

 

「痛みに耐える特殊な訓練を受けてやがるな。ここまで耐えられる奴は、そうそういるもんじゃねー」

 

 オールバックの男が感心したように言った。

 

「だが、最後には全部話す。殺さずに痛めつける方法はいくらでもあるんだ。おい、持って来い」

 

 ドスの利いた声で命令を下すと、周りにいた男たちはどこからか持ってきたそれを、衛宮の前に並べ始めた。

 

 まるでこれから始めることを見せびらかすように、パーティ道具をひけらかすかのように――机の上には物々しく悍ましい器具がずらり並んだ。ナイフ、メス、ノコギリ、ハンマー、ハサミ、そして巨大なドリルまで。

 

 一郎はそれを見ているだけで失神してしまいそうだった。

 

「まずは、これからいこう。お前は何者だ? どうやってテロのことを嗅ぎ付つけた?」

 

 男は手も持ったメスを衛宮の脇腹に突き刺すと、顔を近づけて静かに尋ねた。

 赤い血がこぼれ、下半身を伝って足元の血だまりへと落ちていく。

 

「ぐうう」

 

 衛宮は顔を歪めながら声を漏らした。

 

「ちゃんと痛みを感じてるじゃねーか。もっとお前の声を聴かせてくれよ?」

 

 男は突き刺したメスを脇腹の中で抉るように、上下左右に動かし始めた。

 

「ぐああ」

「痛いだろう? もっと痛くなるぞ。さぁ、話しちまえ」

「ぺっ」

 

 衛宮は口の中に溜まった血を男に吐きかけた。

 

「クソ野郎がっ」

 

 男は逆上して衛宮の腹をおもいきり殴った。

 

「ごほっ」

「いいか、楽に死ねると思うなよ? 死ぬよりも苦しい目に合わせてやる。そして最後には――殺してくださいって懇願させてやるからな?」

 

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