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『カクヨム』でも『小説家になろう』でも大人気――『異世界もの』というジャンルの正体と物語においての役割! その1

コラム カクヨム

今回の記事はコラムの第二弾です!

 

みなさんは、今ネット小説界で大人気のジャンル――『異世界もの』をごぞんじですか?

 

今回は『異世界もの』と呼ばれるジャンルの正体と、物語においての役割についての雑感や、考察のようなものを書いていきたいと思います。

 

 

まず初めに、『異世界もの』と呼ばれるジャンルが、ネット小説界では大人気である。

 

『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』、『この素晴らしい世界に祝福を!』、『灰と幻想のグリムガル』、この三つの作品は全て――

 

『異世界もの』と呼ばれるジャンルで、しかもネットに投稿された小説が出版され、そしてアニメ化したものです。

 

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アニメ化してない作品でも、『小説家になろう』のランキングの大半が、この『異世界もの』のジャンルで埋まっています。その人気の波は、『カクヨム』にまで押し寄せています。

 

『異世界もの』にも、大きく分けて『異世界召喚』と『異世界転生』という二大ジャンルがあるのですが、それは後述します。(僕的には、ネット小説で大人気のジャンル『VRMMRО』ものも、異世界ものに分類されると思っているのですが、そちらはまた別の機会にコラムにできれば)

 

 

まずは、『異世界もの』について大まかなジャンルの説明をしたいと思います。

 

 

簡単に説明すると――

 

主人公Xが、現実Aから異世界Bに『移動』するということです。

 

この際、主人公Xは『現実Aでの記憶や経験を引き継いでおり、異世界Bにおいてその記憶や経験を活かせる』せるのがこのジャンルの特徴です。

 

この『世界間の移動』と、『記憶と経験の引き継ぎ』が――『異世界もの』というジャンルを分解したときに残る『二つの要素』です。

 

 

では、『異世界もの』と呼ばれるジャンルは最近急に流行り出してきたのか? ネット小説が生み出したのか? と言えば――それは違います。

 

 

物語に置いて『異世界もの』というジャンルは――

古き良き王道であり、多くの人たちが慣れ親しみ愛されてきた歴史のあるジャンルです。

 

みなさんは、『ナルニア国物語』をご存じでしょうか?

 

イギリスの文学者C・S・ルイスが生み出しが偉大なるファンタジー小説であり、世界三大ファンタジーに名を連ねる普及の名作です。

 

近年ではハリウッド映画化もされているので馴染のある方も多いかもしれません。

 

この『ナルニア国物語』は、『異世界もの』と呼ばれるジャンルに合致します。

 

いえ、今日の『異世界もの』の父とも母とも呼べる作品といっても過言ではないのです!

 

以下、簡単なあらすじ。(ウィキペディア参照)

 

 

戦乱を避け田舎に疎開したペベンシー家の4人きょうだいは、疎開先の古い屋敷の空き部屋にあった衣装ダンスから別世界の国・ナルニアに引き込まれる。そこは魔法が生き、けものたちがしゃべり、神話的生き物や妖精の住む世界であった。子供たちは不思議なライオン、アスランに導かれてナルニアを支配する白い魔女から住人たちを解放しようと奮闘する

 

 

どうですか?

まさに異世界もの、それも異世界召喚と呼ばれるジャンルではないでいしょうか?

 

さらに古い作品を例に挙げます――1700年代に書かれたジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行紀』は、かなり初期の『異世界もの』に当てはまると考えています。

 

ガリヴァー旅行記」の場合は、当時のイギリスの社会批判や風刺を行うためのメタファーとして架空の舞台が登場するのですが――

 

主人公Xであるガリヴァーが、現実Aから異世界Bである四つの島を巡り、冒険するという意味では、物語の構造的に『異世界もの」のジャンルに分類されると思います。

 

 

他にも、SF小説の始祖と呼んでもいいH・G・ウェルズの傑作にして、時間旅行のジャンルを切り開いた『タイムマシン」も、物語の構造的には異性ものと呼べると思います。

 

『タイムマシン』ではタイムマシンを開発した主人公Xであるトラベラーが、現実Aから異世界Bである未来世界を訪れます。

 

もちろん『タイムマシン』はジャンル的には紛れもなく『SF』であり、『時間旅行』ものに当てはまりますが、『異世界もの』という物語の構造がいかに広く普及し、たくさんの人に愛されているかということが分るのは無いでしょうか?

 

他にも、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』なども『異世界もの』ジャンルに当てはまるでしょう。

 

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ここまでの説明で――『異世界もの』のジャンルや、その裾野の広さは分って頂けたと思います?

 

 

では、我々日本人に『異世界もの』が普及しだしたのは、いつなのかということに話は移ります。

 

そりゃ今現在――少なくとも「2000年代に入ってからだろう」と仰る方は少なくないと思います。

 

しかし、実際はもう少し前なのです。

 

そして、このジャンルが広く多くの人に知れ渡り、親しまれてきたのは小説ではなく――

 

 

『アニメ』なのです。

 

 

基本的にこの『異世界もの』のジャンルは、80年だから90年代――とくに『エヴァンゲリオン』が大ヒットするまで、アニメ業界によって育まれたジャンルだと僕は考えています。

 

80年代の異世界もののアニメとしては、『機動戦士ガンダム』シリーズでお馴染みの富野由悠季監督による『聖戦士ダンバイン』が83年。『魔人英雄伝ワタル』が88年。89年には『天空戦記シュラト』があります。

 

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これらの『アニメ』の特徴は、全て――主人公Xが現実Aから異世界Bに移動するということです。(興味が湧いたかたは、ぜひご覧になってみてください。ダンバインはおススメです!)

 

さらに90年代に入り――90年『NG騎士ラムネ&40』。94年『魔法騎士レイアース』95年『神秘の世界エルハザード』。同じく95年『ふしぎ遊戯』。96年『天空のエスカフローネ』。同じく96年『VS騎士ラムネ&40炎』などがが放映されます。

 

80年代、90年代は『異世界もの』が多く制作され、アニメ作品全体を見ても、異世界ものに限らなず――『スレイヤーズ』や『オーフェン』などのライトノベル原作のファンタジー作品も多くアニメ化されてきました。

 

とくに、『NG騎士ラムネ&40』は主人公が異世界Bに移動する際に、ゲームという要素を取り入れた最初の作品ではないかと思います。(今日のゲーム的物語や、VRMMО系のジャンルとも絡めて話したいのですが、それはまた別の機会に)

 

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そう、80年代、90年代――世は『異世界もの』を含む『ファンタジー』の全盛期だったのです。

 

 

しかし、その流れを、それまでの流行を一気に変え、世の中の雰囲気すら変えてしまったのが――おそらく日本アニメ史に置いて永劫語り継がれるであろう、アニメ界の巨人新世紀エヴァンゲリオンなのです。

 

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このアニメが放映され、深夜で再放送が行われたころから、ファンタジーというジャンルはその勢いをなくし、徐々に衰退の道を辿っていきます。

 

アニメでヒットするのは『異世界もの』や『ロボット』ものでなくなっていく――。

 

そして、『アニメ業界』と『ライトノベル業界』の方向性を決定的に変えてしまったのが、『涼宮ハルヒの憂鬱』であろう。

 

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このアニメのヒットを境に――ライトノベルの大ヒットを端に、多くの読者、視聴者の意識はファンタジー的な世界ではなく、現実への向かって行くことになります。

 

エヴァンゲリオン』で監督である庵野秀明氏に――「気持ち悪い」、「現実に帰れ」と言われ、その結果、多くの人は庵野監督に言われた通り、現実に帰って行くのかと思いきや、多くの創作者が現実を舞台にした作品を作ることで、架空の現実世界に帰って行くのである。

 

涼宮ハルヒ』をトップランナーに――一風変わった不思議な『部活もの』が大流行し、『京都アニメーション』という偉大なスタジオが旗振り役となって『日常もの』と呼ばれるジャンルが大流行するのです。

 

エヴァンゲリオン』以降――多くの創作者が『大きな物語』を捨て、『身近な物語』を描き始めたのだ。

 

ライトノベル業界でもその流れは顕著であり――『涼宮ハルヒ』を発端に、『僕は友達がいない』、『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』などの、『涼宮ハルヒの憂鬱』からSFを要素をスポイルし、部活という要素のみに焦点を当てた作品が次々と現れ、

 

さらに『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のように、主人公がヒロインに振りまわされ、ヒロインの欲望を叶えていくと――『涼宮ハルヒ』のキャラクター性や物語の構造を引きぎ、余計な要素を削ぎ落した結果の産物が生まれてくるのです。

 

そして、この『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』というエポックメイキングな作品は、これ以降に多数発生する『妹もの』の母となります。(こうやってジャンルが引き継がれ、新しいジャンルに移行して行く様は素晴らしいですね!)

 

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多くの創作者が現実に帰り、日常を舞台にした作品を創作し続けた結果――多くの読者やファンはそれに熱狂します。

 

近年では『アイドルもの』のジャンルも盛り上がりを見せ、『日常もの』に続き『現実をベース』にしたアニメはアニメ業界のスタンダートになります。

 

しかし、そんな流れに異を唱えたのが――ネット小説界なのではないかと思う。(本当に、ただ何となくそう思うだけなのです)

 

つまり、現実の物語ではなく、架空の、未知の、まだ誰も知らない、そんな不思議な世界を、ここではない『異世界』を願ったのが――

 

ネットの住人なのではないかと。

 

 

その2に続きます。

 

 

kakuhaji.hateblo.jp

 

(短くまとめられませんでした。ごめんなさい)

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