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マリーと魔法使いヨハン62話

マリーと魔法使いヨハン(完結済み) 小説

062 パーシヴァルとガラハッド

 

kakuhaji.hateblo.jp

 第1話はこちらから読めます ↑

 

 マリーは先ほどから、信じられないと言わんばかりの表情で空を眺めていた。それはこの“アルバトロス”が、“グランド・エア”に向かって一直線に、その進路を取っているからだった。

 激しく噴き上げる螺旋の竜巻は、凄まじい勢いで星の外へと伸びて行く――――

「どうしました、マリーさん? 表情が固まっていますよ」

 まるで時間が止まってしまったかのようなマリーの顔を見て、ヴィクルトが尋ねた。

「ねぇ、本当にあの中に入るの?」

「ええ」

 ヴィクルトは、当然のことのように答えた。

「大丈夫ですよ。あの中は、私たちの故郷“キャメロット”――――私たちを拒むはずはありません。きっと、優しく受け入れてくれるでしょう」

 穏やかな表情でそう告げるヴィクルトを横目に、マリーは落ち着かずにはいられなかった。

「さぁ、いよいよだ」

 いつの間にか、大聖堂の壇上の上に設けられた黒檀の椅子に腰を掛けたユダが、厳かな声を上げた。

「いよいよ始まる」

 その言葉が不気味に木霊して、マリーの心の中を漂った。

 マリーは、何かとてつもなく不吉なことが起こりそうな気がしてならなかった。

 その時だった――――突然、壇上にマリーの見たことのない男が二人現れた。

 二人とも白いローブを纏い、ユダの前に片方の膝を立てて深く頭を下げていた。そして、一人の男がユダに耳打ちするように何かを告げると、ユダは即座に表情を変えた。

 そしてユダは表情を緩め、マリーを見つめて笑顔を浮かべた。

「どうやらマリー、あなたの言う通りらしい?」

 ユダの言葉に、マリーは何のことかと首を傾げた。

「だが、ここまでたどり着けるか――――」

 マリーに聞こえぬように小さく呟いたユダは――――目の前の二人の男に、視線を落とした。

「パーシヴァル、ガラハッドお前たちに任せよう。好きにすればいい」

 それを聞いた二人は、音もなく部屋から姿を消した。

 マリーの心を、激しい胸騒ぎが襲った。
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こちらの物語は、『小説家になろう』に投稿していたものをブログに掲載し直したものです。『小説家になろう』では最終回まで投稿しているので、気になったかたはそちらでもお読みいただけると嬉しいです。

 

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