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マリーと魔法使いヨハン57話

マリーと魔法使いヨハン(完結済み) 小説

057 気張ってこうじゃねぇか?

 

kakuhaji.hateblo.jp

 第1話はこちらから読めます ↑

 

「兄貴、“スレイプニル”が激しくなってきやした」

 機関室から戻ってきたヨハンを見て早々、マッドは尋ねた。

「ああ、問題ない。このままの進路を維持してくれ」

「了解っす。兄貴? 顔色が悪いっすよ。大丈夫ですか?」

「ああ、僕は朝が苦手なだけだ」

 ヨハンは短くそう告げると、再び踵を返して操船室を後にした。

「兄貴、具合悪そうさね」

 マッドの隣で、チェシャが呟いた。

「ああ、顔が真っ白だったんだな」

 続いてマーチが口を開いた。

「当たり前だろうが」

 三人の会話にトールが割って入った。

「この“クライスト”を動かすにゃ、本当なら魔法使いが十人係で魔力を供給しなきゃならねぇ。普通の“魔石機関”なら、魔法使いがいちいち魔力を供給しなきゃならねぇなんてこたぁねぇが、この船だけは特別だ。大陸をわずか三日で駆け抜ける速力。雲の上すら飛べる浮力。そして、どんな嵐が来ても沈むことのない錬金術を施された外装――――その全てを維持するには、とんでもない桁外れの魔力がいる」

 トールは頭を大きく振りました。

「それを、あの男はたった一人で動かしてるんだ。もうとっくにぶっ倒れてもおかしくないだろうに――――」

「あっ、兄貴?」

 三人は言葉に表せない複雑な表情で、ヨハンの去った後の空間を見つめていた。

「分かったな、らさっさと仕事にもどれ。こっちは猫の手すら借りたいぐらい人手が足りねぇえんだ。それに――――」

 トールもヨハンの去った後の空間を、複雑な表情で見つめた。

「俺たちが手を貸せることなんざ、こんなことぐれぇしかねぇえんだ――――気張ってこうじゃねぇか?」

「了解」

 三人は声を張り上げ、意気揚々と自らの持ち場に帰って行った。
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こちらの物語は、『小説家になろう』に投稿していたものをブログに掲載し直したものです。『小説家になろう』では最終回まで投稿しているので、気になったかたはそちらでもお読みいただけると嬉しいです。

 

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