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仕事をやめるたった一つのやり方~58話

 

第58話 戦闘開始

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kakuhaji.hateblo.jp

 第1話はこちらから読めます ↑

 

 建物の入り口の見張り二名をダウンさせた衛宮と響きは、そのまま敵のアジトに侵入していた。

 

 衛宮が見張りから奪った無線機に、婁圭虎と思われる指揮官からの命令が入りに、自分たちの侵入がすでに敵に気が付かれたことを知ると、二人は顔を見合わせて先を急ぐ算段をつけた。

 

「案外早くバレたわね?」

「元特殊部隊の兵士だ。それなりの訓練は積んでいるはずだ」

「先を急ぐにしても隠密行動は無理そうね」

「ここからは派手に行こう」

 

 衛宮は背中に背負った散弾銃を構え、響はアサルトライフルをいつでも撃てるように構えた。

 響直海の後ろを歩く一郎は、ノートパソコンの入ったショルダーバッグを大事そうに抱えながら、当たりをきょろきょろと見回した。

 

 建物の中は雑多な倉庫といった感じで、打ちっぱなしのコンクリートの壁に四方を囲まれている。

 敵はおそらく建物の二階を指令室にして守りを固めているだろうと予測をつけていたので、二人は二階へ上がるための階段を探しながら、耳を済ませて敵の位置を探った。

 

 敵の足音を聞きつけた衛宮が、ハンドシグナルだけで響きに合図を送る。

 

「――この先、敵二名、こちらに接近」

 

 響は即座に頷いて迎撃の算段を立てた。

 

 現場でパートナーを組んできたこの二人は、現場の状況と互いの目線だけでほぼ完璧に作戦の内容を共有することができた。

 今二人の頭の中には、完璧に共有された作戦内容が展開されており、衛宮の合図でそれを行う準備がすでに出来上がっていた。

 

 響は自分の役割を果たすために一郎を見た。

 

「鈴木一郎、今から私たちは戦闘に入るわ。あなたはここに身を屈めて、絶対にここを動くんじゃないわよ」

 

 響は初めて一郎の名前を呼び、小声で指示を出した。

「分ったらすぐに返事をする」

「わ、分った。ここでじっとしてる」

 

 一郎は言われて慌てて返事をした。

 

 響は頷いて衛宮に視線を送った。

 響たちの二メートル程先で身を屈めている衛宮が、ハンドシグナルで合図を出し――三秒後に敵が来ることを示した。

 

 そして敵が廊下の先から現れた瞬間、散弾銃が火を吹いた。

 至近距離で無数の鉄の礫を喰らったテロリストは一瞬にして絶命し、地面へと崩れ落ちた。衛宮は即座に散弾銃のレバーを引いて弾丸を詰め直し、もう一人のテロリストに散弾を放つ。

 一瞬にして二名のテロリストを葬った衛宮は、二階へ上がる階段までのルートを確保するために先へと進んで行った。

 

 響は今の銃声を聞きつけてこちらに向かって来るテロリストの仲間を警戒して、視界の開けた場所を陣取って敵を待ち伏せした。

 

 響の予測通り、銃声を聞きつけてやってきたテロリストが続々と現れ――響はアサルトライフルをフルオートで掃射した。

 テロリスト一名が絶命し、残りのテロリストは物陰に隠れて応戦を始めた。

 互いの銃弾が飛び交い、建物内はいっきに戦場へとその姿を変えた。

 

 お互い遮蔽物に身を隠して銃撃戦を行い、戦闘は緊縛と膠着の状態に入った。

 少しでも射撃の手が緩めば、敵が全身をしてくることは間違いなかった。

 

「一郎、私が敵を引き付けている間に蔵人のところに向かいなさい。ここも長くは凌げそうにない」

「響さんは……?」

 

 一郎が心配そうに言った。それと同時に、この戦場を一人で歩くことなど勘弁してほしいという気持ちでいっぱいだった。

 

「ここを片付けたら、私も後を追うわ。あんたが視界にいると気が散って仕方ないのよ」

 

 気丈に振る舞っては見せたが、敵の数は三人でこちらは一人――

 圧倒的不利の中にいた。

 

 だからこそ一郎を先に行かせる必要があった。

 

 響自身は懐疑的ではあっても、この作戦の肝心要はこの鈴木一郎だった。

 彼が無人機のコントロールを奪い返さなければ、最悪東京のどこかにミサイルが放たれれることになる。

 だからこそ、響は自分の身を危険に晒したとしても、鈴木一郎を先に進ませなければならないと判断した。

 

「いい? 私が三つ数えたらいっきに走り抜けなさい。行くわよ――1,2,3」

 

 その合図と共に一郎は立ち上がって駆けだした。

 背中では激しい銃撃の音が止むことなく続いていた。

 

「ほんと、そんな役回りばかりね。それも嫌な仕事ばかりだわ。それでも……蔵人に比べればぜんぜんマシなほうか?」

 

 響はやれやれと呟き、閃光弾のピンを抜いた。

 閃光弾を敵に向けて放つと――響直海はアサルトライフルを構えて敵の中に突進していった。

 

 

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