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仕事をやめるたった一つのやり方~23話

仕事をやめるたった一つのやり方 小説

第23話 電話

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kakuhaji.hateblo.jp

 第一話はこちらから読めます ↑

 

 工場を後にした一郎と衛宮は、犯人グループが使っていた車を逃走に使用していた。

 

 運転は一郎がした。

 車の運転なんて大学生時代に免許を取って以来だったが、衛宮の様子を見れば自分が運転する他なかった。

 

 助手席でぐったりとしている衛宮は、お世辞にも無事とは言えず、先ほどの拷問の傷や痛みが尾を引いていた。破いた衣類やガムテープなどで止血はしていたが、応急処置にもなっていないことは明らかだった。

 

「大丈夫か? 病院に行ったほうが良いんじゃない?」

「いや、今は……目立つところには行かない方が良い。僕たちが生きているという事は……直ぐに知れる。また追手が……かかるだろう」

 

 衛宮はかすれた声で言い、オールバックの男から奪った携帯電話を調べ始めた。

 

 着信は全て非通知からで、発信した番号は丁寧に消去されていた。手がかりになりそうな情報は何も掴めなかった。

 

「さすがに……警察に行ったほうが良いんじゃないか?」

「分ってる。だけど……この近くにも……奴らの仲間が潜んでいるはずだ。今の僕はお前を守れそうもない。襲撃を受ければ……おしまいだ」

 

 本来なら、犯人グループの車を逃走に使用していること自体危険な賭けだったが、発信機の有無などを確認しておいたため、短時間の仕様なら問題ないだろうと判断した。

 

 車は現在、横浜市のベイエリアを走っている。

 

 犯人グループに発見されたり、警察の検問に引っ掛からないよう、大きく迂回しながら東京へと向かっていた。

 

「じゃあ……これからどうするんだ? そのシンとかいうブローカーが、また追手をさし向けて来るんだろう……これ以上逃げ続けるなんて無理だ」

 

 車を運転しながら、一郎は震えた声で弱々しく言った。

 

 その脳裏には、先ほど自分の目の前で拷問をされた衛宮の姿がこびりつき、さらにはここ数時間で目にした死体の数々が浮かび上がっていた。

 

 一生忘れられそうもない悲惨な光景の連続だった。

 

「ああ……分ってるさ。助けを呼ぶ」

「……助け? 警察か?」

「まぁ、警察みたいなものだ。おそらく僕たちのだいたいの事情も呑みこめているだろうし……話も早いだろう」

「どういうことだ?」

 

 一郎は意味が分らないと首を傾げたが、衛宮は一郎の疑問を置き去りにして電話をかけ始めた。

 

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