仕事をやめるたった一つのやり方~10話

第10話 侵入

本日の『カクヨム』のミステリーランキングで13位に入れました。ありがとうございます!!       

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仕事をやめるたった一つのやり方(七瀬夏扉) - カクヨム

 

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「きょろきょろするなよ。前を向いていれば誰も気にしない」

 

 衛宮は落ち着きのない一郎に念を押すように言った。

 二人はマトリクス社の入館ゲートに向って足を進めていた。

 

「真っ直ぐ前を見て、少し頭を下げろ。顔は動かさず、一定の速度で歩き続けろ」

 

 二人は先ほど強奪した社員証をゲートに翳して社内に無事侵入を果たした。

 衛宮は携帯端末に映っている監視カメラの映像を確認した。

 

「鳩原は部署にいるようだが、一人になったりはするか?」

「そのうち部長室に戻ると思うけど。それより……鳩原部長からどうやってテロの供述を聞き出すんだ?」

 

 一郎の脳裏には、衛宮が先ほど行った暴挙とも言える行動が鮮明に浮かび上がっていた。

 

「安心しろ。おそらく、鳩原は金で動いているだけの素人だ。少し脅せば簡単に白状するだろう」

「少し脅迫?」

 

 一郎は疑いの目を衛宮に向けながら、エレベーターに乗って目的階のボタンを押した。エレベーターは何事もなく目的階へと到着した。

 先ほど永遠の別れを告げたばかりの部署に戻ってきたことを、一郎は苦々しく思った。

 

「良し、鳩原は部長室に入って行った。イチロー、部長室に他の人間が入ることはあるか?」

「中から内線で呼び出されない限りないと思う……部署の社員も部長とは内線かメールでやりとりする」

「なら、問題ないな」

 

 衛宮は頷いて表情を鋭く尖らせ、途端に危険な雰囲気を身に纏った。

 まるで獲物を前にして牙を剝いた獣か、鞘から抜いた刀のようだと、一郎は心の中で思った。

 衛宮は音も立てずに部長室までの廊下を歩いていき、部屋の前員立つと一郎に視線で合図をした。

 

「いいか? まず僕が部屋に入る。イチローはその後に続き、部屋に入ったら鍵を占めろ。後は僕が鳩原からテロの供述を引き出す」

「……分った」

 一郎はなるようになれと、半ば投げやりに頷いた。

「良し、行くぞ」

 

 そして、衛宮は勢いよく部長室の中に入って行った。

 

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